メインハーネス 端子交換 YZ250F

レースのインターバル期間中にマシンをリフレッシュしてほしいとご依頼を頂きましたので、作業の様子を少しご紹介いたします。

YZ250FXのエンジン腰下OH、ハーネスの点検等をご依頼頂きました。ハーネスチェックまでなると殆どバラバラの状態にしないと状況が把握できませんので、お見積りを作成する為にもすべての部品を外していきます。

フレームはかるくブラストして綺麗になりました

エンジンは各部チェックして必要な部品出しを行います。部品は、発注してから入荷するまで時間がありますので、その間に他の作業を進めます。

本日はメインハーネスのチェックを行いました。電気関係のメンテナンスは、オフロードバイク(特に近年のモデル)ではかなり重要になります。レース会場などに行ってもトラブルの多くは電気関係です。そしてほとんどの原因が短絡か断線(接触不良)で、事前に清掃したり、見て触るだけでも、大半はトラブルを防けるものが多いです。

ざっと汚れを落として、カプラや端子を順番にチェックしていくと、さっそく端子の割れを発見しました。

端子が割れています。このままでは接触不良になる可能性があります。

今回、まだ不具合症状は出ていませんでした。しかし近い将来、必ず不具合に繋がる時限爆弾になります。そしてこれが、レース本番や練習中などに発症するから最悪です。折角の楽しい週末が台無しになってしまいますよね。

リテーナーが付いてると確認しづらい場合もありますので、配線ドライバなどで押してみたり、注意深く確認します。

リテーナーが付いていると、ぱっと見では端子が割れているかわからなかったりします

リッジサイクルでは、カプラや端子も常に在庫するようにしています。レース会場でも対応できると思いますので、配線トラブルの際はお気軽にご相談ください。

リッジサイクルでは、カプラセットを常備しているのでほとんどの修理に対応可能です

今回はカプラ側は問題無さそうなので、端子のみ交換しておきました。

今回は端子のみ交換で済みました

こういった修理では、端子のかしめが重要になります、適当にやると軽く引っ張っただけで抜けてしまったり、断線させてしまったりと余計なトラブルに繋がります。

個人的には端子のかしめは、道具で決まると思っています、昔は腕なのか??と思ってましたが、そこそこ良い道具を使うと勝手に綺麗に仕上がります。

ちなみにリッジサイクルでは、ヒーロー電気の圧着工具(FRH-07)を使っています。正直、電気関係の工具はそこまで詳しくないのですが、間違いなく今まで使っていた物よりは仕上がりが良いです。

端子のかしめは道具で決まります

こんな感じで1つずつ確認し、清掃しながら仕上げていきます。それなりにバラさないとハーネスを点検するのは大変ですが、見えるとこだけでもやっておくと違うと思います。

自分で作業するのは大変だなって事であれば、リッジサイクルに車体のメンテナンス等と併せてご依頼ください! ハーネス関係はバラバラにする都合上、普段の洗車では綺麗に出来ない部分も軽く綺麗に出来るというメリットもあります。

ヒーロー電気の圧着工具(FRH-07)

こちらの工具は、上記リンクからお買い求め可能です。電工ペンチも色々ありますが、千円前後の安いモノでは綺麗に仕上がらないことが多いので、一ついいものを持っておくとずっと使えて安心です。

高圧洗浄機 ビットリオZE の修理

タイトルの通り今回は高圧洗浄機を修理してみたのでその内容を記載しておきます。高圧洗浄機はオフ車乗りの方なら馴染みのツールだと思います。外で使えるエンジン付き高圧洗浄機は、憧れの一品だったりしますよね。

値段がそこそこ高い上、嵩張るし重いので中々購入に踏み切れない方も多いと思いますが、やっとの思いで手に入れても1年くらい壊れてしまったなんて話もチラホラ耳にします。壊れた場合、メーカーに聞くと基本的に部品交換になることが多い印象ですが、今回は謎の動きをしていたので試しにバラしてみることにしました。

今回この高圧洗浄機は、中古で手に入れたんですが、使用期間は2,3年でしょうか。オーナーの方が別の高圧洗浄機に買い替えるとのことで、古くなったこの機種を譲って頂きました。その節はありがとうございました!

蔵王産業(ZAOH)製 ビットリオZEという高圧洗浄機です

壊れてしまったのは、蔵王産業(ZAOH製)のビットリオZEという、エンジン式のなかではコンパクトな高圧洗浄機です。ABITツールさんが取扱いしている製品で、JNCCの会場などでも販売しています。お手頃価格でコンパクトなので、持ち運びしやすいのがうけて、中々人気の商品です。

持ち帰ってきて、まずはどんなもんかと始動点検してみます。エンジンは普通にかかりますが、エア抜きのバルブを閉めるとエンジンが止まってしまいます。また、ガンを握ると高圧の水は噴射されるものの、ガンを離すとエンストするという症状でした。

症状からしてエンジン側というよりポンプ側に問題がありそうだったので、試しにバラしてみました。

ポンプ側だけ分解してみました

ポンプ側は水が入って圧送する役割がありますが、バラしてみるとその仕組みが良く分かります。仕組みについての詳細は割愛しますが、右上の丸い部品がエンジンの動力で回転することで、左上のピストンが順に上下動し、入ってきた水を圧送している構造でした。

水を圧送しているだけあって、ガンを握っていない時は水圧が一定以上掛からないように水の侵入を止める必要があります。その役割をしているのがプレッシャーバルブで、今回はそのプレッシャーバルブが固着していることが原因でした。プレッシャーバルブが固着すると、ポンプ内の水圧がどんどん上がってしまうので、エンジンが止まってしまいます。

リリースバルブの構造。一番左のバルブが砂がみして固着していました。

単純にこのプレッシャーバルブの固着を直したら症状は解消しましたので、もし同じような症状が出ている場合は、各バルブがきちんと可動するか確認してみて下さい。ここまでバラバラにしなくても直ると思います。笑

バラしたついでと言ってはなんですが、分解した際にオイルっぽいものがこぼれてしまったのでエンジンオイルを入れておきました。オイルっぽいというのは、以下の画像のように水分が混じって乳化してしまったオイル状のものです。元が何だか分からなかったのですが、少し調べたら普通のエンジンオイルで良さそうでしたので、なんとなく入っていたであろう量を適当に入れています(笑)

水分が混じって乳化してしまったオイル、だと思われます。

メーカーに問い合わせると、基本的にポンプはアッシー交換(一式交換)となるようですが、今回はバルブの固着が直接の原因だったので、とりあえずの修理は出来ました。もし同じ症状でお悩みの方がいましたら、まずは各バルブがきちんと可動するかチェックしてみて下さい。それでも改善しない場合は、ABITツールさんのアフターサービスに相談してみるとよいと思います。

もしかしたら悩んでいる人が多いネタかも?と思ってこの記事を書いてみました。参考にしてみて下さい。

JNCC ダイナランド サポート参戦

梅雨に入りバイク乗りにとっては天気予報が気になる季節になりましたね。雨の中練習に行くほどのガッツは持ち合わせていないので、このところの週末はお仕事しております。

さて、タイトル通り、JNCC第4戦 ダイナランドのサポート参戦に行ってきました。今年の渡辺学選手は、全日本モトクロスが優先なので、JNCCは開幕戦に引き続き2回目の参戦となります。

いつも通り金曜日の夜には現地入りして、土曜日の朝から準備を進めます。久々なので、しっかり準備したこともあり、選手もマシンも上々の仕上がりです。

土曜日は、いつものようにコースを下見しました。ダイナランドは今年初開催の会場で、シーサイド糸魚川に似たような起伏のあるコースでした。雨が降っていたこともあり渋滞箇所が幾つかありそうな感じで、 難易度は、ビギナーさんには難しそうかな?と思えるレベルでした。

レース当日は晴れましたが、コンディションは雨の影響が残っており、昨日の下見通りの展開が予想されました。久しぶりのJNCCとあって、渡辺学選手も気合が入っていたように見えました。

ツイスターレーシングのメンバーがサポートしてくれました

スタートしてから少し走ったところにある、難所となるであろうと予想されたヒル。ゲレンデを登り切った後、更に15mくらいの斜度があるセクションなのですが、コンディションが悪かったこともあり渋滞していました。

1周目から渋滞スポットとなってしまったヒルクライム

そんな状況でしたが、渡辺学選手は難なくクリア。走りながら空いたラインを狙って直登するのは中々難しいと思いますが、そこは流石の走りでした。

渋滞を交わしてヒルを登りきる渡辺学選手

1周目は1位で戻ってきたので、序盤から調子が良さそうです。サインボードの用意と給油の準備を進めて、何周目に給油指示を出すか考えていたところ、2周目に戻ってこなくなったので、何か起きたと判断。パドックに戻ってみるとエンジンから異音がするとのこと。

色々チェックしてみましたが、レースを続けられる状態ではなかったので、リタイヤしたほうが良いと判断し、そのままリタイヤすることになりました。

エンジントラブルに見舞われたYZ450F

久々のJNCCでしたし、1周目の好調具合からして、今回も上位入賞に届く雰囲気はありましたが、まさかのマシントラブルでのリタイヤとなってしまいました。

昨年1年間、メカニックをやっていて普通の人よりかなり早い段階で各部が消耗しているのを目の当たりにしていましたが、更にその予想を上回るペースで各部が消耗してしまっていたようです。 JNCCトップライダーが乗るマシンであり、まして450ccモデルとなれば、各部品への負荷は相当なものだったと思われます。今後は、更に厳しい独自の稼働時間管理を設定し、念には念を入れたメンテナンスで対応していくことにします。

次戦、第5戦 神立スノーリゾートですが、コースが拡張されるとの情報も入っているので、万全の体制で臨めるようにしたいと思います。

全日本モトクロス第4戦 SUGO大会 サポート参戦

全日本モトクロス第4戦、SUGO大会のサポートに行ってきました。第3戦のオフロードヴィレッジに続いて今回もメカニックとしてサポートしに行きました。

SUGO大会は当日こそ晴れましたが、週中はしっかり雨が降ったので初日はマディコンディションとなり、ショートコースでの戦いとなりました。練習走行から帰ってきた選手たちは既に全身ドロドロです。

ツイスターレーシングからは4名の選手がIBクラスに出場します。顔ぶれは第3戦のオフロードヴィレッジと同様です。ポイント獲得に向けてみんな気合が入っています。

#45 原國 翼選手。前回、オフロードヴィレッジでポイント獲得し、流れに乗れるか
#42 井上 永斗選手。走り慣れたSUGOで結果を残せるか
#7 堀越 秀鷹選手。オフロードヴィレッジ3位入賞の勢いを活かせるか
#41 藤川 昴選手。走りこんできたSUGOで結果を残せるか

土曜日は、午前中に練習走行と予選があります。マディだったこともあり、中々難しい状況だったようで、予選は2名が通過となりました。

土曜の午後は決勝ヒート1。2名の選手はどちらもポイント獲得圏内でフィニッシュしましたが、レース中はスタートから出遅れたり転倒したりと、上手く乗れたとは言えない結果でした。それぞれに反省点もあったようなので、明日、日曜のヒート2では今日以上の結果を期待したいところです。

翌日、日曜日は朝から全員で下見に行きました。渡辺学監督からの指摘もあって、全員下見の重要性を再認識したようです。

メンバー全員でコースを入念に下見します

マシンのメンテナンスを自分がすることで、メンバーに時間的な余裕が生まれます。その為のメカニックでもあるので、下見やアップ等よりレースに集中できれば嬉しいですね。

隙間時間で自転車トレーニングをして集中力を高める#45 原國 翼選手

決勝ヒート2もスタートが決まらず後方から追い上げる展開に。昨日と違ってフルコースとなったので、今まで走りこんできた経験値が活かせる状況になりました。コンディションも回復して完全ドライ。どこまで追い込めるでしょうか。

抜きつ抜かれつを繰り返し、あと一歩のところでフィニッシュ。何とかポイント獲得圏内でゴール出来ましたが、課題の残る結果となってしまいました。

簡単に結果をまとめますと…

#7 堀越 秀鷹選手(予選:3位、決勝ヒート1:11位、決勝ヒート2:10位)
#41 藤川 昴選手(予選:19位)
#42 井上 永斗選手(予選:11位、決勝ヒート1:14位、決勝ヒート2:12位)
#45 原國 翼選手(予選:19位)

前回のオフロードヴィレッジと比べると、#42 井上 永斗選手の活躍は嬉しかったですね。決勝両ヒートでのポイント獲得は大きな自信に繋がると思います。

レースの詳細については、ツイスターレーシングブログに書いてありますのでご覧になってみて下さい。

ところで、今回は、メンバーの一人のマシンで日曜日の朝、練習走行の出走直前にトラブルがありました。スタータスイッチを押してもセルが回りません。スイッチを押すと燃料ポンプは動いたので、スタータスイッチは異常なしと判断しました。続いてセルを直結してセルモーターの作動確認をします。こちらも異常なし。次はメインリレーを疑い、交換してみましたが症状が変わらずでした。再びセルスイッチ回りをよくよく調べてみたら、コネクタの中で断線、という結果でした。

配線やコネクタは、泥や水で劣化して接触不良や切れてしまうことは良くあります。今回はコネクタの中での断線、しかも微妙に接地していた為、発見まで時間がかかってしまいました。

出走間近でエンジンが掛からない系のトラブルは焦ります

この手のトラブルは発見しにくいだけでなく、レース中などタイミングが悪い時に発生すると、結果に大きく響いてしまいます。 何とか決勝出走には間に合いましたが、練習走行には間に合わなかったので、別のマシンで辛うじて出走しました、練習走行も自分のバイクで走れていれば、決勝の結果は変わったのではないかとの思いが、少々心残りでした。

無事にレースを終えたツイスターレーシングのテント

今回の件が気になったので、帰ってから別のマシンでこの事象を再現して検証してみました。セルスイッチの配線を完全に外すと、セルスイッチを押しても燃料ポンプが動かなくなったので、自分の判断は誤りではなかったことが分かりました。燃料ポンプが動いたので、セルスイッチ(配線まで含む)は異常なしと判断ましたが、微妙に断線している場合は、燃料ポンプは動くがセルは回らないという症状になるということは今回初めての体験でした。

セルスターターの配線は、シュラウドの中にあります
カプラーの中の配線が半分以上断線していたのが原因でした(完全に断線すると燃料ポンプも動かない)

今回のことを踏まえ、自分なりの反省点としては、コネクタ等をチェックする頻度を増やす。朝、起きたらすぐにエンジンをかけて、エンジン回転数がスムーズに上昇するかチェック(YZは、どこかに異常があるとエンジン回転数が上がらないなどの制御が入る場合があります)そしてエラーコードをチェックする。
出走直前でバタバタするようでは、メカニックとしてまだまだだなと痛感しました。メカニックとして今後も精進しようと思った今回のサポート参戦でした。

YZF系のセル付き車両では起こりうるトラブルだと思います、皆様もお気を付けください。