【第1回】LABA7サスペンションダイノを導入しました ― データで「見える」サスペンションへ

当店ではこのたび、LABA7社のサスペンションダイノを本格導入しました。これまで培ってきた経験と勘に、数値という客観的なものさしが加わります。今回から数回に分けて、ダイノで何が分かるのか、そしてそれが皆さんのバイクのセッティングにどう役立つのかを、実際の測定データとともにご紹介していきます。

第1回は「そもそもダイノで何が読み取れるのか」というお話です。

ダイノは「速度ごとの踏ん張る力」を測る機械

サスペンションダイノは、ショックを機械で強制的にストロークさせ、どのくらいの速さで動かしたときに、どのくらいの力で踏ん張るか(減衰力)を測定します。

下のグラフは、実際に測定したBETA クロストレーナー250のリアショックのデータです。横軸が「ピストンの動く速さ」、縦軸が「踏ん張る力(減衰力)」を表しています。

青い線がコンプレッション(縮む側)、赤い線がリバウンド(伸びる側)です。

ここで一番大事なポイントを覚えてください。

減衰力は「ストロークの位置」ではなく「動く速さ」で決まる。

グラフを見ると、速度が上がるほど力が大きくなっていますよね。これはつまり、同じサスペンションでも「ゆっくりの動き」と「速い動き」では全く別の効き方をしている、ということです。

速度域ごとに「効く場面」が違う

この速度域の違いが、乗り味に直結します。ざっくり整理すると、

– 低速(〜100mm/s) … うねり、ブレーキング時の沈み込み、荷重移動。「接地感」「ふわつき」に効く
– 中速(200〜400mm/s) … 連続する小〜中ギャップ、わだち。「しっかり感」「突き上げ」に効く
– 高速(500mm/s〜) … 鋭いエッジ、石、ジャンプの着地。「底づき」「はじかれ」に効く

「ブレーキングでフロントが入りすぎる」のと「着地でガツンとくる」のは、まったく別の速度域の問題です。これまでは経験で切り分けていたものが、ダイノを使えば「どの速度域がどうなっているか」を数値で確認できるようになります。

フリクション ― 低速の「渋さ」の正体

もう一つ、ダイノで分かる重要な要素がフリクション(摩擦)です。シールやピストンの滑り抵抗で、特にゆっくりした動きのときに大きく出ます。

このように、フリクションは低速で大きく、高速になるほど小さくなります。低速のフリクションが大きいと、小石の乗り越えや細かい路面追従で「動きが渋い」という形で体感されます。オーバーホールでシールを新品にすると、ここの数値が下がって「動きが軽くなった」と感じられるわけですが、それを今後は数値でお見せできます。

次回予告

次回は実例編です。アジャスターを全開・全閉にすると数値がどう変わるのか、そしてオーバーホールの前後で何が回復するのかを、実際の測定データでご覧いただきます。

「アジャスターを回しても変わらない気がする」――そんな疑問にも、データで答えが出ます。お楽しみに。


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